北海道の鉄道事情
1987年4月1日に国鉄分割民営化によってJRグループが発足してからすでに30年が経過しました。JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州、JR貨物、JR総研、JRシステムに分かれ、それぞれで経営をし独自色を打ち出していますが、ここに来て経営状態の差が大きく現れてきました。
元々国鉄時代に赤字になり、それがもとで国鉄が民営化されたわけですが、今もなおJR北海道とJR四国は赤字が続いています。
JR北海道は、民営化された1年後には寝台特急「北斗星」の運転開始や函館と青森を結ぶ青函トンネルが開業したことにより経営状態は良好でしたが、だんだんと経営が悪くなってきました。
JR北海道の経営悪化
JR北海道(北海道旅客鉄道)は北海道の広大な大地で鉄道事業を行なう会社です。しかし、毎年その経営状況は赤字が続いています。ではなぜ赤字となっているのでしょうか?
それは前述したように北海道が広大な大地を持っていることによります。そのため、路線数と距離数が他のJRグループに比べて多くなっています。
北海道は、札幌以外の市町村は年々人口が減少していっています。都道府県別に人口密度を見たときに北海道は日本一人口密度が低く、尚且つ地方の市町村から札幌へと人口が集中していることも経営を悪化させている一因となっています。
地方の市町村の人口が減ると必然的にJRを利用する人数も少なくなります。利用者がいないのにJRは時刻ダイヤ通りに運行しています。それだけで車両や施設の維持管理費や人件費が掛かり、雪国である北海道はさらに除雪の費用等も掛かります。どんどん赤字が膨らむわけですよね。
また、JRが発足した当時に比べると現在は、自家用車を持つ人が増え、発達した道路網を使って市町村間を移動する人が増え、自家用車を持ってない人でもJRの駅より近くて利便性が良いバスを利用し市町村間を移動しています。
こうした状況が何年も続いたことによって、JR北海道の経営はどんどん悪化していきました。
路線の営業状況
北海道には現在、全部で14の路線があります。そのうち営業状況が黒字なのはたったの3つの路線(千歳線・海峡線・石勝線)だけで、残りの11路線は赤字となっています。
しかも、全国には全部で約200の路線が走っているのですが、そのうち営業状況が悪いワースト3を北海道の3つの路線(留萌本線・日高本線・釧網本線)が占め、ワースト10の中にJR北海道の路線が5路線も入っている状況です。
ある総合GMSを例に出しますが、200店舗あるうちの100店舗が5年連続赤字だとすると、赤字額が悪い順に店舗を閉鎖します。閉店することで売上は減りますが、営業することで掛かる光熱費や人件費を減らすことができます。そうすることで赤字を減らすことができるので、このような手法をとります。
ですが、JRでは赤字だからといって簡単に路線を廃止することはできません。利用者が少ないと言ってもゼロではなく、利用している人がいます。もしも路線を廃止すると、利用していた人たちの「足」を奪うことになります。JRというものは慈善事業ではないですが、赤字だからといって簡単に路線を廃止することができません。
また、既存路線の老朽化が目立ち、線路の破断や亀裂は大きな事故に繋がる可能性があります。これらを新しくすることはできますが、JR北海道としては費用対効果が合わないこともあり、新しくすることに慎重です。
2016年8月にあった台風の影響により根室線の東鹿越―新得間の線路の下にあった土砂が流されてしまい不通となりましたが、土木工事だけで5億円以上掛かるほか、線路や電気系統の工事にも5億円以上掛かるため、JR北海道はこの区間の復旧を見合わせています。
実はこの路線、復旧の費用に10億円以上も掛かるという部分以外に、利用者が少ない路線で今後廃止を検討している路線でもあります。そのため、10億円以上の費用を掛けてまで直す必要性がないため、復旧は見合わされているという状況です。
そしてこの路線については、JR北海道が沿岸自治体へ鉄道ではなく、バスなどへの転換を提案しています。
経営状態の打開
JR北海道は何年も赤字が続いています。この赤字経営を打開するのにもっとも効果的な方法は、言うまでもなく赤字路線の廃止です。しかし、前述したように利用している人の「足」を奪う事になる路線の廃止を簡単にすることはできません。そのため、JR北海道はさまざまな策をこうじています。
ひとつは、785系電車、281系気動車などの新型車両の投入です。この新型車両を投入することで、高速バスに対抗するものです。
二つ目は、各種商品の展開です。例えば、温泉施設の利用料とそこに行くJRの運賃が安くなる割引切符などです。
内部的なところでは、各種業務の外注化による人件費を抑えました。
一番大きいのは、留萌本線の留萌-増毛間の廃止です。いつかは廃止される路線があるとは思っていましたが、この時点での廃止にはビックリしました。それだけJR北海道は経営状態が圧迫しているということなんでしょうね。